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北口裁判証人尋問 速報

エセ行為の判断基準は府連の書記局の恣意
他団体のエセ行為も解放同盟が判断・対処
驚くべき北口証言

在日コリアン人権協会ニュース リベール〜liber〜『在日コリアンの主張』
第124号(2006年10月25日発行)より転載
在日コリアン人権協会 副会長 徐 正禹

10月11日北口裁判証人尋問

 10月11日、北口裁判のハイライトとも言うべき証人尋問が、大阪地方裁判所1009号法廷で行われた。
証言者は以下のとおり。

 (原告側)
   徐正禹(在日コリアン人権協会副会長)
   柏木宏(大阪市立大学院教授)
 (被告側)
   北口末広(部落解放同盟大阪府連合会書記長、近畿大学教授)
   村瀬康郎(大成建設社員)

 尋問は10:30から昼休みをはさんで16:00まで行われた。調書(証言記録)は2〜3週間後に出される予定であり、詳細については調書の作成を待ちたい(ホームページに全文掲載予定)。本紙では筆者(原告)が運動論の観点から特に重要と思われる点について報告する。

エセ行為の判断は府連の恣意によって決定される

 訴訟は主として名誉毀損に基づく損害賠償に関する争いだが、運動論の観点からは「エセ行為」の基準と他団体に対する干渉にある。被告北口は、これまでの裁判で原告及び在日コリアン人権協会がエセ行為を行っていると主張してきたが、何をもってエセ行為というのか、その基準については判然としない。唯一、在日コリアン人権協会の関連団体が企業に対して抗議行動を行なったことに関して、企業に「圧力」をかけ、当該企業が迷惑していることがエセ行為であると主張したが、これでは被告北口が所属する部落解放同盟を始めとする全ての運動体の行為がエセ行為となる。

 尋問に対して被告北口は抗議行動全てがエセ行為にあたるとは言えないと証言した。更に在日コリアン人権協会の関連団体が抗議に際して企業に金銭的要求をおこなったと認識しているか、との尋問については「知らない」と答えた。また筆者(原告)が金銭を個人的に着服したと言ったのか、との尋問には「言っていない」と答えた。

 であるならば、何がエセ行為にあたるのか、との尋問に被告北口は「要求が不当だから」と答えた。ちなみに、要求とは2001年大阪同和問題企業連絡会等二つの企業団体に対して、在日コリアン等外国人学生のための就職セミナーの後援を理由もなく中止したことに対する抗議で、中止を撤回することが要求内容である。

 つまり金銭的要求が無くともエセ行為は成立するとの見解である。これは従来の部落解放同盟の見解にはなかったことである。更に被告北口は要求の不当性だけで判断できるものでもないと証言し、結局エセ行為の客観的基準について最後まで明らかにしなかった。エセ行為の基準について尋問が深まっていくと、最後には「総合的判断」としか答えなかったのである。要するに被告北口においてエセ行為の客観的判断基準はそもそも存在しないのである。

 であるならば、この抗議行動をエセ行為であると判断し、行動したのは被告北口個人か、あるいは組織か、との尋問には「府連(部落解放同盟大阪府連合会)の書記局である」と答えた。つまり、エセ行為の判断は府連の恣意によって決定されるというのである。

 これには筆者(原告)もさすがに驚いた。書記局と答えたのは、恐らく被告北口個人で全ての責任を負いたくないとの思いと、書記局ならば書記長の専権事項として処理できるとの判断からと思われるが、常識的に考えても、部落解放同盟大阪府連の行為となるのは明らかである。

他の人権団体のエセ行為も部落解放同盟が対処する

 更に最近発表された部落解放同盟の飛鳥会事件等に関する見解文の中で、今後エセ同和行為、エセ人権行為については「組織内外」を問わず対処すると記載されているが、この「組織内外」の「外」とは、障害者、女性、外国人等他の人権団体も含むのか、との尋問に被告北口は明快に「そうです。」と答えたのである。改めて被告北口の立場を確認するが、被告北口は部落解放同盟中央執行委員、同大阪府連合会書記長の要職にある。しかも、府連書記局として判断、行動したとの答えを合わせて考えると、到底個人的見解との言い逃れはできない。
 となれば、被告北口の証言はすでに、組織内で承認されているものと理解する他ない。しかし、このような方針を実行することは果たして可能なのであろうか。まず、事実調査を行うに際して、果たして他団体が受け入れるのであろうか。部落解放同盟の傘下団体ならまだしも、部落解放同盟とは全く独立した団体が受け入れるとは到底考えられない。
 しかし、被告北口の証言から、驚くべき手法が明らかにされた。エセ行為を行ったとされる他団体からの聞き取り、確認は必要ないというのである。これは、被故北口に対する尋問の中で、在日コリアン人権協会に対する聞き取り、調査を行わずに、なぜ「被告北口において確認した事実」と言えるのか、との問いに「相手に対する調査はしなくとも事実確認はできた」と答えたのである。
 確かに、このような手法が許されるのであるならば、他団体が受け入れなくとも、エセ行為に対して対処できることにはなる。
 しかし、手法以前の問題として、他団体がエセ行為を行っていると言う判断を、当該団体に連絡もせず、部落解放同盟が一方的に行い、かつ対処することが、許されるのであろうか。もし仮に今後このような方針が具現化されたならば、それは飛鳥会事件以上に部落解放同盟の歴史を汚すことになるのは、火をみるより明らかである。
 「不可侵、不可被侵」(松本治一郎)の精神は消えうせたのだろうか。